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 『対局麻雀ネットでロン!』スペシャルインタビュー

第1回 『ネットでロン!』開発について
「対局麻雀 ネットでロン!」発売に先駆けて、開発秘話を全4回にわけて大公開。
アリカホームページでしか読めない内緒の話が満載です!!
まずは、第一回「ネットでロン!」の開発にいたる流れを聞いてみました。
ネットワークを使った物ができないか、という企画がこの「ネットでロン」で。
まずは「対局麻雀 ネットでロン!(以下ネットでロン)」開発に至るまでの動機をお話しください。
三原 PS2でゲームを作ろう、という企画が上がった時に、3つの方法論があがりまして。
1つはPS2の表現能力を活かしたオリジナルのゲームが作れないか、と。それが「EverBlue」で。
で、もう1つがPS2の映像的な表現で面白い企画は出来ないかな、と いう部分でうまれたのが、波紋表現の「テクニクティクス」。
もう1つが ネットワークを使った物ができないか、という企画がこの「ネットでロン」で。
3つとも 同時にスタートしたんですが。一番遅くなってしまったのが「ネットでロン」でしたね。
ネットワークゲームで、という部分で最初はストラテジーなシュミ レーションゲームを開発してましたが、ネットワークを作る事自身、もう大変なのにこんな内容の濃いゲームにしてもいいのかと、二ヵ月目位に気がついて、もうちょっと簡単なのにしようと、これはこれで置いておこう、ということになって。
それで、ネットワークプラスゲーム、で誰もが知っているゲームにしようという部分で、正直将棋とか囲碁とか麻雀……まあ、色々あったんですがその中で多人数で遊べる物が作りたい、じゃあ麻雀ゲームなんかが面白いのではないか、と。
それで、麻雀ゲームでネットゲームっというのは、もうすでにあるから何か個性を付けよう、と。
勝っていったらクラスアップしていくとか……。まあ、そんな感じの原形が集まっていったというのがスタートラインです。
それは、いつごろからですか?
三原 ネットでロンに着手したのが2000年の10月位ですよね。だから丸々1年かかりましたね。もうちょっと前から、大体8月位からシミュレーションの企画を考えてて、10月位からリセットして始めたので、大体足掛け1年ですね。
その途中でWindows版の話がチョコッとでたようですが?
三原 元々、例えばDreamCastとPS2で対戦が出来れば楽しいよね、っていう形で最初DreamCastでやりたいな、と考えていました。
ただ、当時こちらにはDreamcastの開発ハードがあるわけではなかったんです。それで通信周りのシステムを作るのにWindowsベースで物を開発してたんですね。それを逆にPS2に持ってきてる関係であって、言ってしまうとWindows版で元を作ってそれをPS2にもってったという流れなんですね。
まあWindows版が自然と出来つつある流れがあって。で、それをDreamcast版に、と考えたんですがちょっとDreamcastも大変な事になってしまって。
じゃあPS2しかないかな、って開発がそのまま進んでしまった時に、モニターテスト公開をどうしようかと。「沢山の人でやりたいよね」と。そういった時に大量に配れて、沢山の人に やってもらいたい、となるとWindowsだと移植も容易だし……容易というより元が出来てしまってるから基本的にグラフィック周りをちゃんと作り直して追加すれば、サーバ負荷テストも兼ねられるだろう、という部分でスタートしたんですが……実際Win版として、テストが出来るまでの完成には至った訳ですが、どうしてもメインでありコアな部分が……PS2のネットワークシステムとコアな部分がおなじなのでどうしてもですね、俗にいわれるチートを防げないと。
ズル行為ですね?
三原 極端にいうと防ぐ術がWin版は見当たらなかったと。怖いのは本末転倒になることで。
PS2の体験版として遊んでもらってたのに、PS2本来のユーザーが不快に感じる可能性がある、というのは本末転倒であると。それで非常にもったいないが「止めてしまえ」と諦めたんですね。
で、諦めてしまったのでは余りにもユーザーさんに申し訳ないし、それに急遽Sonyさんの協力もしもらえる事になったので、PS2版でモニターをやろう、ということになったんです。
バーチャファイター4にも段位が有ると聞いて、鼻血だしてしまったという...(笑)
今、モニター版が配付されていますが、段位システムについて……、現時点では入っていないんでしたっけ。
三原 入って無い、というのは語弊があって。モニター版の人には申し訳ないんですが、入っているのですがモニター版の人からは見られない、と。実際にステータス的には移動しているんですね。
申し訳ないですがそれはモニターテストという事なので、こちらの開発集計はできるけども、ユーザーさんからは見れないと。
段位システムを企画したのはちょうどクリスマス位ですよね。テトリス好きが集まるOff会で、将棋の話で盛り上がった事がありまして、王位とか段位ですよね、まあそういう話で盛り上がった時に共通項もあるし、で考えたら麻雀にもAリーグBリーグあるんですが。 テトリスで作ったシステムのように、上手ければ段位があがっていくみたいなシステムがあっても面白いかなって。クリスマスの前日ぐらいに企画として上がって、作業として詰め始めて、二月のAOUショーでバーチャファイター4にも段位が有ると聞いて、鼻血だしてしまったという...(笑)
確かに、時期的にかぶってしまってますね。
三原 アイデアとしてはバーチャファイター4も成功してると思うし、実際にやっていて楽しいですし。
逆に自分等も作ってて段位システムもかなりキてるな、と。普通の勝ち負けだけじゃ無くても過去の試合を思い出してやったり。「あの時の1手が段位にとって良かったんだ」とか。ただ単純に勝てば上がる負ければ下がるというものじゃないようにはしています。
相対的な部分も出てくるんですね。
三原 そうですね。あの、テトリスを例に挙げて申し訳ないのですが、TGMシリーズの段位システムというのは未だに謎とされているんですよ。それと同じで今回も「勝てば上に上がっていくが……」っていう形ですね。かなり謎がありますよ、今回も。
その部分で最高位を目指して、と。でまた最高位が分らない、どこまであるのかという。一応、9級から始まって9、8……1でTGMシリーズと同じく、S1..S2..という形で。
今は社内チェックと明日からモニターチェックも始まるんですが、社内チェックでちょうど最高段位がS4位ですかね。毎日上がったり下がったり、と。たまに、ギャ-という悲鳴が聞こえると「あ、下がったな~」と。なかなか楽しいですよね。(笑)
やっぱり段位システムはテトリスから来てる部分がありますね。
アリカさんでのオンラインランキングの走りはテトリス・ザ・グランドマスターからですか?
三原 テトリスがTGMシリーズで、オンラインランキングていうものを作りたくて。
まあ出来なかった事なので、いまさら言っても仕方ないのですがPSでTGMシリーズ、残念ながら出す事ができませんでしたが、あの頃に実は自分のプレイした成績をネットワークでつなげてサーバーに蓄積したりとか、メモリーカードとかをゲームセンターに持っていって、それを家庭用に持って帰ってサーバーにつなげる事で、サーバーが常に世界ランキングを出せると。
本当は今のVF4みたいにネットワークに繋がっていればリアルタイムに……例えばやっている最中に「マスターが現れた」とか、あなたの総合ランキングは何位ですみたいな事をやりたいと思っていたんです。
テトリスの時にそんなアイデアがあって、クリスマスの頃に段位というアイデアが上がって。「じゃあネットワークで集計して闘おうよ」と。でまあ「人って上を目指したくなるよね」って部分で段位に。やっぱり段位システムはテトリスから来てる部分がありますね。
今回の「ネットでロン」で、PS2の能力と映像表現とネットワークと一通りやってみたことになりますよね。そうするとまた次のステップという感じになるかな、というのがあるのですが?
三原 あ~そうですね。カードキャプターさくらシリーズを見て頂ければ分ると思うのですが、同じ題材でも同じゲームを作るというのは、僕がそんなに得意では無いんですよ。
「ネットでロン」も実は麻雀ゲームの中では最高の物が出来たとは思ってるのですが、正直作っている最中に取りかえしのつかない部分ってあるんですよ。
「 あ、ここをこうすれば良かったけどゴメンなさい今更直せません」とか、「もうシステム的になおせません」とかいうのがあって。そういう、合格点なんだけれど、百点満点じゃなかったという項目が何個かあるんですよ。
後で考えてみると「こうすべきだったな、なんで思いつかなかったんだ」って。例えばそれをフィックスしたものを出したいかな、っていうのはあります。

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イラスト:小池定路