アリカロゴ Game Introduction

 
ファイティングレイヤー
1998年12月稼動 
業務用ビデオゲーム 
プレイヤー人数 1~2人
開発/株式会社アリカ・販売/株式会社ナムコ
©ARIKA CO.,LTD.1998 ALL RIGHTS RESERVED.
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キャラクター紹介
■テツオ カトウ

怒涛が激しく岩壁を叩きつけていた。 
この時期、日本海は特に激しくなる。 

一人の漢が岩場に仁王立ちしている。 

「この島国には、もぅ俺より強ぇー奴はいないってことか……」

少し、虚ろな眼差しを打ち寄せる怒涛に泳がせていた。 

しばらくして、手に握られている物に視線を向ける。 

「蔵栖(ザウス)記……」 漢はその巻物に書かれている文字を口にすると、 大きく息を吐き瞼を閉じた。 
再び、眼を開いたその眼孔には、もはや一点の曇りもない。 
「こんな島には、もう飽きた!異人相手にいっちょ、もんでやっかぁ!」

■ジョージ ジェンセント

ジョージは強く吹きつける風の中、 襟を立てその中で愛用のタバコに火をつけた。 

ジッポを無造作にポケットの中に突っ込み、 サングラスを外すと自嘲するよう呟いた。 

「なんて、ゴキゲンな場所なんだろうね。全く…」 煙を吐き出しながら言葉を続ける。 

「署長も左遷先にはもう少し気を使ってほしいもんだぜ、いや…署長なりに気を使ってくれたのか…」 

タバコをもみ消すと、海岸に背を向け奥へと歩き出した。 

「この島の実態調査か、早いとこ済ませて帰るとするか。ネオンと排気ガスのないところには三日以上いるなってのがジェンセント家、300年来の家訓なんでね」

■ホン ギルソン

ホンは幼少の頃から通い詰めていた道場の蔵の中から 埃まみれの一冊の書物を見つけた。

その書物には未知なる力を求めた先人達の記録が綴られていた。 

しかし、その多くの先人達が「ザウスアイランズ」に渡ったのを最期に消息を絶っていることにホンは気付く。 

ホンの中にある「武」に熱い血潮がそそぎ込まれていった。 

「…この眼で確かめてやるぜ」 愛用のバンダナをいつもよりきつめに締め直すと、ホンは蔵を飛び出していった。

「眼前の武のこれを悉く打ち破り、その屠られし死屍の上にのみ存在する…」

文節の一部を暗唱するホンの口元には笑みがこぼれていた。

■ラン インファ

婆の膝の上に座って話を聞かされる度に、幼い頃のランは胸を躍らせていた。 

この物語は、ご先祖様がある島で次々に現れる大男や大蛇などを打ち倒して、最後に館に住み着いた龍を退治するまでの様子が綴られている。 

実に細かく書かれた情景描写にランは幼心の中に「この物語は本当にあった話」だと信じてやまなかった。 

立派に成長したある日、道場の師範から「ザウスアイランズ」の話を耳にしたランは、すぐさま旅の支度を整えると、港に停泊中の貿易船の舟底に潜り込んだ。

「すごいなぁ、やっぱりあの物語はホントだったのね」逸る気持ちを抑えながらも、ランは期待に胸を膨らませる。 

「最初に出てくるのは何かしら……大蛇かな?それとも……」 ランを乗せた船は吸い込まれるように水平線の彼方へと消えていった。

■ジャニス ルチアーニ

「アハハ、キャハハハッ!」 動かなくなった相手を目の前にジャニスは、恍惚な表情を浮かべていた。 

おびただしい出血だ、おそらく死は免れないだろう。 

「ハッ!」突然、ジャニスは振り向き、ナイフを投げた。
ナイフの先端が大きな樹の幹に突き刺さる。
樹皮と共に巨大な蠍がその身を二つに分け、落ちていった。

その様を楽しそうに見ながら、ジャニスは視線を空に泳がす。 西に傾く陽の光が空を
まるで血の様に真っ赤に染め始めていた。

「アタシはここ、気に入ったね」 この島に渡ってからは暗い路地裏で警察から身を隠す必要もなく、欲望につき動かされるままジャニスは破壊を繰り返していた。 

草の鳴る音が聞こえたと同時に奥の茂みから、人影が現れた。ジャニスは樹に刺さった
ナイフを抜き取ると軽く舌を這わしながら、こう続けた。

「あんた、赤い色好き?」

■エクソダス

「そこだっ!いっけぇー!アッ、エクソダスっ、うしろ、うしろ~っ!」
今日も子ども達の歓声がリングホールにこだましている。

「ウィーッ、フィニッシュ!」自慢気にリングから飛び降り、控え室に戻る途中、一人の記者がエクソダスにインタヴューを求めてきた。

「エクソダスさん、人気、実力共に向かうところ敵無しですね!」 エクソダスは満足気に頷く。記者は続ける。
「世間ではクレメンス・クライバーの再来との評判です、グァッ!?」突然、記者の胸ぐらを掴むとエクソダスは 押し殺した声で怯える記者に言い放った。
「俺の前で、二度とクレメンスの名前を出すな!」 
「は、はい…」
引きつった記者を下ろすと自分の控え室のドアを開け、乱暴に閉めた。 
「クソっ!どいつもこいつもクレメンスと俺を比較しやがる! やはり、奴はこの俺の手で…」
暗い部屋の中に一人の人影が浮かび上がってきた。
「エクソダスさん、お探しの人、ようやく見つけだしましたよ…」ゆっくりと、振り返るエクソダスの顔には怒りと、 喜びの感情が同居していた。
「やっと、見つかったか…で…奴は今、何処にいる?」

■シャン シェンファン

「また、シャンっ、てめぇか!今度という今度は逃がしゃしねぇぞ!」
露店主が大声を出しながら、長箒を振り回していた。

「オヤジ、たかが肉まん一個でムキになんなよ。あらヨットっとっと」シャンは振り回わされる箒を巧みにかわしている。
「じゃぁな、あばよ!」

悔しがる露店主を後目に路地裏へと逃げ去っていった。 
帰り道、シャンは一人の易者に呼び止められる。 貧しい格好の割に力強い眼光の易者にシャンは興味を持った。 

「お主、金が欲しいか?いや、いわんでも分かるぞ…。こそドロ家業などせんでも、巨万の富を手に入れる方法を、知りとうないか?」 易者の顔を見ながらシャンは口を開いた。 

「面白そうじゃねぇか。で、どうすんだい?」 白髭を蓄えた易者は嬉しそうに話を続ける。「実はな、海の彼方にあると言われる、ザウ………」

■ジグジット バートル

鬱蒼と生い茂る森の中を大きな漢が一人歩いていた。
躰にはこれまでの闘いで受けた傷跡が生々しく残っている。
やがて、森が切れ、大きな滝壷に辿り着いた。
漢は、大岩に腰を落とし、か細く声を発していた。 
それは、草原の民に伝わる叙事詩の詩。

「草原の民に闇が下りし時、大いなる民の意志を受け一人の漢を旅に出す  その者、同胞を異民族の闇から救いださんと力を欲し、身を焦がす   やがて、黄昏の草原から同胞の民を新たなる世界へといざない…」

深く、息を吐くと漢は森の奥へと再び足を踏み出した。

■セッシュウ

「悪く思うな、これもまた定め…」
すでに事切れている相手にそう言い残すと、月明かりに照らされていた影は瞬く間に掻き消されていた。

激しい気迫の中にある冷徹な心。 時の権力者の仕えることで己を影に換え、
任務の完遂だけが己の証。
この世に光りあれば影が生まれ、自然の摂理に逆らわず、 只ひたすらに生き、只ひたすらに死を求める。

「我を持つこと、すなわち我を捨てることなり」 
影は、己をさとすように囁きながら、眼前の相手へ忍者刀のこい口を斬った。

■カプリッチョ

光苔が青白く輝く洞窟内では、数人の人影が揺れていた。 
「セ・・・ドモリト・・・ニク・・・ノレワレワ」 
「ロ・・・ケツセミヲ・・・ラカチ・・・ノチタレオ」
「ルテタ・・・シカア・・・ノンケッフ」

おそらく、その中でのリーダー格と思われる男が口を開く。 
「ツカ・・・オレ・・・スウザ・・・マシ・・・ルマツアガサモ」

一同が声を揃えてどよめく。 

「シカア・・・ラカチ・・・ノクゾチイ・・・ガレソ・・・スオタ」

拳を高く掲げると皆もそれに続いた。

「ハイヤイ!ハイヤイ!ハイヤイフォ~、カ~プリッチョ!」

■アレン スナイダー

なま暖かい風が吹き抜けていく海岸の桟橋にアレンは立っていた。自慢のもみ上げを風が擽る。

「これで俺も井の中の蛙だぜぃ。」暴走する勘違いがこのザウスアイランドという空間を『井の中』に見たて、その中の最強の『蛙』になる為に彼はここにやって来たのだった。

しばらく歩くと人影が視界に入ってきた。 アレンは大きな声で、前を行く漢に声をかけた。「あんた『井の中の蛙』だなぁ? って事は俺様のライバルでもあるって訳だぁ!」声をかけられた漢は振り返ってアレンを見る。 

「なに言ってっか、知らねぇが…俺も退屈してたもんでな。 いっちょ、もんでやっか!」

アレンも吼える。 

「おう、『朝飯前』だぜっ!」 !」

■ブレア デイム

ヨーロッパ最大の財団の一人娘、ブレア・デイム。
連日開催される社交会に退屈を感じ、ふらりと旅行に出かけることにした。世界中に所有している別荘を転々としていたが 旅の気まぐれから、ザウスアイランドに。

ブレアは天性の感覚でザウスアイランドに何かを感じとっていた。 
「この殺気の集まり方…ただ事じゃないわ」
その言葉とは裏腹にブレアの表情は楽しげに見える。 

「『倶楽部』のレジャー施設でも建設しようかしら?」本気とも冗談とも取れそうな口調でブレアは執事に向かって笑って見せる。 
「お、お嬢様…き、危険ではありませんか?」執事の心配をよそに、ブレアは軽いストレッチ運動を始めていた。
「大丈夫よ、セバスチャン。それより、急いで着替えの準備をしてちょうだい!」

■ジョー フェンディ

「どいつも、こいつも腐ってやがるぜ!」
無機質な部屋にかけられたサンドバックに 猛烈な連打を繰り出しながら漢は叫んでいた。
数カ月前まで、世界中のメディアに映っていたプロボクサー、ジョーフェンディの姿がそこにあった。
「レギュレーションなんかクソ喰らえだっ! 片目が見えなくても、強ぇー奴は、強ぇーんだぁーよっ!」留めの右ストレートにサンドバックは、その身を部屋にまき散らした。

ジョーのサングラスに砂がぶつかり、乾いた音を立てながら床に落ちてゆく。
「・・・ん?」 部屋の入り口に立つ人影にジョーは気付くと、嬉しそうにファイティングポーズを構え、後ろで見ているセコンドに向かって口を開く。

「・・・ここにいれば、強ぇー奴が自分からやってくる。ってぇ話はマジみてぇだな」

■クレメンス クライバー

かつて、伝説という言葉の世界的な代名詞になった漢がいた。
誰よりも真剣に強さを求めた漢は、忽然と姿を消し、文字どおりの伝説になった…。

「これが、全てを投げ捨て『力』を求めて この島に来た事への代償だというのか」
鍛え上げられた躰は、過ぎ去った時の風化を感じさせないほどである。 
大きな部屋の片隅に、たたずみながら漢は拳を握りしめた。
「ならば、今の自分自身が贖罪なのか…身も心もここに縛されていることが」
隣の部屋から獣の断末魔が聞こえるのと同時に部屋の扉が静かに開かれた。
漢は振り返り、来訪者を迎えた。
「全ては螺旋の理か…強の者よ、自らの運命に抗う者の力、教えてくれよう…」

■エイジャックス

飛び散る鮮血、崩れ落ちる仲間、飛び交う鉛の弾丸…。
鼓膜を貫く爆音に、引き裂かれる肢体…。
「うおぉぉーっ!」 真っ暗な部屋の中でプレストンの咆吼が響きわたった。 
ひどく、疲れた様子でベットから上半身を起こす。
「はぁ、はぁ…、また…あの時の夢か…」 うなだれた顔から流れる汗が滴となって落ち、 シーツに吸い込まれ小さな跡を残す。
「結局、俺達は自分の命を炎に近づけることでしか、生きている実感が持てない…」
一人しかいない部屋の中で、自分の右腕を擦りながら呟く声が、虚しく消える。 
「俺達の時間はあの瞬間に止まったままだ…錆び付いた針を動かそうとした者も結局、誰一人として動かせなかった…」
プレストンは、視線を右腕から虚空に向けた。 
「今は待つしかない、と言うのか?…そうか、そうだな…弟よ…」
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